【保護者会にて(1)】「よのなか」の話題を取り上げてください。


保護者のみなさん、
本日は保護者会にご出席いただきありがとうございます。

この4月より、朝日、読売、毎日、日経、産経、東京の6つの新聞をとり、
それぞれの教室で生徒がニュースを気軽に読める環境をつくります。
また、毎週火曜日の7校時には、
「総合的な学習」で「よのなか科NEXT」に全校一斉に取り組み
新聞の題材をテーマにした論文を書いていく予定です。
今の学校の勉強が社会とどうつながっているのかを
学べる機会を作りたいと考えています。
 
 
さて、話は少し替わりますが、
先日、ある雑誌の編集者が私のところに取材に来ました。
その取材内容は、
「『私の子どもは好きなことがなく、ものごとに興味関心を抱きません。』
という悩みをもつ親が多くいます。その親に対して何かアドバイスをお願いします。」
というものでした。

私は、多くの中学生に囲まれて日々を過ごしていますが、
子どもが「ものごとに興味関心を抱かない」ということは、決してないと思います。
今日も生徒たちが桜の木についた『しゃくとり虫』を見て
「どうして90度に折れ曲がってすすむのだろう!!」
と大騒ぎをしていました。
子どもたちのほうがよっぽど純粋で、
いろいろなことにアンテナを張っていると思います。
むしろ親の方が「好きなこともなく、ものごとに興味関心を抱かない」ので
結果として子どもたちの好奇心の芽を摘んでしまっているのではと心配します。

ここで、保護者のみなさんにいくつか質問をさせてください。
まず、昨年一年間に映画を3本以上観た方は?
次に、昨年一年間に本を3冊以上よんだ方は?
次に、昨年一年間に美術館や講演会などに3回以上いかれた方は?
最後に、今の3つの質問に全部当てはまった方は、手を挙げていただけますか?
(2割くらいの保護者の手があがる)
さすがは和田中の保護者のみなさんですね。
ある大学の教授が同じように大学生の保護者に質問をしたら
手があがったのは1割もいなかったそうです。

先ほど、親の方がものごとに興味関心を抱いていないのではないか、
と言いましたが、
人間の子も狼に育てられれば狼人間になってしまいます。
子どもにとって周りの環境や親、先生の影響はとても大きく、
親が「よのなか」に興味がなければ
子どもは「よのなか」に興味を示すことは難しいのではないでしょうか。

私は映画をよく観るほうです。
アカデミー賞の外国語映画賞を獲得した「おくりびと」も観たのですが、
久しぶりに映画館ですすり泣いてしまいました。
死体を棺桶に入れる納棺師の人間模様を描いたものですが
よのなかにはこんな素敵な仕事があったのか、とか
やっぱり久石譲さんの音楽は凄いな、とか
同じ年のモックンこと本木雅弘さんには負けてられないか、とか
そして、何よりも命の大切さについて深く考えさせられる
本当に素晴らしい、感動的な映画でした。

ひとつの映画を観るだけでも、いろいろなことに感動し、
様々なことを考えさせてくれるものです。
ぜひ、大人自身が好奇心旺盛でいたいものだと思います。

さて、冒頭の話にもどりますが、
毎週火曜日の7校時の「よのなか科NEXT」では、
「家族や周りの大人と話し合った結果を書きなさい」
というような宿題を出すことも考えています。
たとえば、
「日本が海外に誇れる文化にはどんなものがあると思いますか?」とか
「人生の節目で人を感動させるような職業を3つあげなさい」とか
時事問題にからめ、そんな宿題も出していきたいと思います。

ぜひ、家庭で「よのなか」の話題を取り上げ
みなさんも子どもたちと一緒に学んでいって欲しいと思います。

本年度もよろしくお願いいたします。


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