【夏休みのコラム①】1年と1学期を振り返って。


「私の後任として和田中の校長を引き受けて欲しい」
突然、前藤原和博校長に呼び出され、こう切り出されたのが約2年前。
それから、公立中学校の校長に就任して1年と4か月。
ビジネスの世界からは想像もつかなかった中学校の現場に飛び込み、まさに激動の日々でした。
夏期休業を迎え、今までを振り返る余裕とこれからを見通す時間ができました。
そこで「夏休みコラム」と題して、校長の依頼を受けてから今までのこと、
そしてこれからの思いなどを書いてみたいと思います。
 
 
 
 
よく雑誌の取材などで、前藤原校長との関係について聞かれることがあります。
藤原氏とはリクルート社の10年先輩にあたりますが
同じ部署で働いたことはありませんでしたし、
何か特別な間柄でもありませんでした。
藤原氏ほどではありませんでしたが私もリクルート社ではそれなりに活躍していたので、
藤原氏と一緒に社内の表彰式に出席したり、
座談会などで意見を交わしたりする程度の関係でした。

ただ、私が独立起業して教育ビジネスに取り組み、
藤原氏も東京都初の公立中学校の民間人校長という立場になってから、
いろいろなご相談に和田中にお伺いしました。
そして「よのなか科」の授業づくりのお手伝いをすることもありました。
その時に「自分が校長になったら、どんな改革をしていくのだろう」と
そんなことを考えたことがないわけではありませんでした。

さて、話は前後しますが、私は大学卒業後、1990年株式会社リクルートに入社しました。

大学生のころ

(リクルート社に入社したころ)

企業の採用活動をサポートする営業部を経て
「大学生を対象にしたビジネススクール」
つまり、就職を控えた大学生がよりよい社会人になるための学校を起案し、
その責任者として活動をし始めました。
当時、3日間のカリキュラムで受講料は10,000円。
受講者1000名の定員はすぐにいっぱいなるほどの人気スクールになりました。
ただ、その人気とは裏腹に感じたことは
「いい大学をでて、いい会社に勤めれば一生安心」
という過去のパラダイムが変わろうとしているにも関わらず、
多くの大学生がそのことに気が付いていない、ということでした。
高度成長期時代の成功体験が未だに残っていて、
有名企業に庇護してもらおうという「就社」の意識ばかりが強くて、
人口が減少していく低成長・成熟社会の中で
どう自分の人生をつかみ取っていくのかを考えている学生はほとんどいませんでした。

RBC

(リクルートビジネススクール入学説明会にて)

そんな事業の経験を通じ、
若者には近い将来に遭遇するであろう「社会で働く」という問題について、
できるだけ早い年齢から、
できるだけ正しい情報を提供してあげることが必要だと痛感しました。
 
 
この事業を通じて感じたことが、
今から振り返えってみると、今の私の教育感を形作る原体験になっています。

(次号つづく)


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