【夏休みのコラム⑥】和田中学力向上の教育メソッド


「時代が変化しているからこそ、
生徒には学びの先に何があるのかをイメージさせ
勉強する意味をわかりやすく伝えていきたい。」
と前回のコラムで書きました。

この和田中の志(こころざし)とその取り組みの効果は、
数値として確認することができます。

杉並区が実施した平成21年度学力等の調査では、
国語、数学、英語の学力調査だけではなく
学習に関する様々なアンケートを実施しています。
そのなかで
Q「新聞やテレビなどのニュースに関心があるか
という質問に対して肯定的な回答をした生徒の割合は、
「杉並区全体」と「和田中全体」とで比較すると【74.2%:77.3%】。
つまり、和田中生徒のほうが《+3.1%》高く
この数字は学年が進むに従ってさらに高くなり、
「杉並区3年生」と「和田中3年生」で比較すると【76.5%:84.1%】。
和田中3年生のほうが《+7.6%》高いのです。

また、
Q「(教科横断的な授業である)総合的な学習の時間で学習したことは
ふだんの生活や社会に出た時に役にたつと思うか

という質問に肯定的な回答をした生徒の割合は、
「杉並区全体」と「和田中全体」とで比較すると【66.6%:74.1%】
と和田中生徒のほうが《+7.5%》高く、さらに
「杉並区3年生」と「和田中3年生」で比較すると【61.1%:72.6%】
と和田中3年生のほうが《+11.5%》高くなります。

同様に「総合的な学習の時間で学習したことによって
他の教科の授業もわかりやすくなったと思うか

という質問に肯定的な回答をした生徒の割合は、
「杉並区全体」と「和田中全体」とで比較すると【34.0%:40.9%】
と和田中生徒のほうが《+6.9%》高く、
「杉並区3年生」と「和田中3年生」で比較すると【26.6%:38.2%】
と和田中3年生のほうが《+11.6%》高くなります。

そして「将来実現したい夢や目標がある
と肯定的な回答をした生徒の割合は、
「杉並区3年生」と「和田中3年生」とで比較すると【70.1%:73.9%】
と和田中3年生は《+3.8%》高くなっています。

その結果、和田中学校の学力は、
国語、数学、英語のの学力調査でも
杉並区の平均以上の結果を出しています。
 
 
つまり、
勉強する意味を理解した生徒は、
将来の夢や目標を持ち、
結果的に学力が向上していくのです。
 
 
こうした結果を導くために、
和田中では様々な教育メソッド(手法)を実践しています。

学力が世界一となったフィンランドでは
独自のフィンランド・メソッドと呼ばれる教育手法を用いて
学力革命を起こしていますが、
和田中ではそのフィンランド・メソッドと同様の教育手法を
数多く取り入れています。

たとえば、フィンランド・メソッドのひとつは、
授業の中で「個別学習」→「グループ学習」→「一斉学習」
を組み合わせるものなのですが
私が教壇に立つ「よのなか科NEXT」の授業では、
教室の机をグループごとにまとめ扇形に並べることで
テーマに応じたグループディスカッションや
全体のプレゼンテーションをし易いように工夫しています。
そして授業の題材とするテーマは、
たとえば安楽死や人工中絶、代理母出産や赤ちゃんポストなど
絶対的な正解のない現代社会の諸問題です。
そして、自分にとって当然だと思うような状況が
他人は必ずしも共有できないことを気付かせ、
協力性や協調性を育成し対話する力を育んでいます。

また、フィンランド・メソッドとして
「社会問題を学習内容に取り上げる」というものがあります。

和田中の理科の授業では環境問題などを積極的に取り上げ
環境問題に取り組む最先端の企業の方々に話していただき、
教科書の知識を生活や社会に生かす力をつけています。

同様に、社会科の先生が行う選択授業では
地域で活躍する多種多様な大人をゲスト講師に招き
年間30回にわたる地域人材と連携した授業を行っています。

また、今年度からの取り組みとして、
各クラスに毎朝、新聞(読売、朝日、毎日、日経、産経、東京から1誌)を配布し
ニュースや時事問題に関心を持てる生活環境をつくりながら、
「新聞を読んで自分の意見を論述する」全校授業を実施しています。

「生徒の個別レベルに応じた学習」も
フィンランド・メソッドとして特徴的なものですが、
英語教科では効果があがる少人数クラスの実践や
数学でも個別指導にも勝る補習授業に取り組んでいます。

こうした21世紀型学力を視野に入れた
様々な教育メソッドを実践することによって
公教育が果たすべき役割である
社会に出ても十分に通用する学力を
和田中生ひとりひとりにつけています。

次回つづく。


コメント

カテゴリー: 校長室コラム