村上龍氏から現場の先生方へ『自分の人生を楽しむこと』②


(続き)

村上龍さんと仕事をしたり、話をしたりしていて、
教育観が近いな、と思うことがよくあります。

それは、龍さんと私が、ともに
「両親が教師」、
という似たような境遇で育ったからかもしれません。

龍さんは、父親や母親の姿を見ていて
「生徒から慕われ、人気のある先生だった」
と感じる時があったあそうです。

私の場合も同じような経験をしたことがあって、
私が中学の時、父は自分が通っていた中学の
隣りの中学校に勤務しており
夏休みになると、
その中学の保護者と生徒がよく遊びにきました。
そのたびに、
私も呼び出され、挨拶だけはさせられましたが、
父と生徒との間に流れる柔らかな空気を感じ

「おとうさん、意外に優しい、いい先生なのかな」

息子がいうのもおかしい話ですが、
そんなことを感じました。

地域の公立高校に進学した時は
父の教え子だったという新しいクラスメイトが
「テルちゃ、元気ですか?」
と声をかけてきてくれました

父の名前が「テルオ」だったので
先生のことを「テルちゃ」というのもどうかと思いましたが、
それでも、私が中学の先生の息子だとわかって
声をかけてきてくれたことは新鮮な喜びで
父が人気のある先生だった(のではないか?)
ということは分かりました。

龍さんの
「つまらない人生を送っている教師からの指示は
子どもたちにとっては単なる強制でしかない。
だからこそ、魅力ある先生であり続けてください。」

というメッセージは、
様々な課題を抱える日本の教育システムにおいて
その本質を捉えているものかもしれません。

トークショウは、
『サバイバルの時代を生き抜く進路』
というタイトルで
ともすれば危機感や悲壮感をあおるような内容になりがちですが、
セミナー全体が終始和やかで
前向きな雰囲気で終了できたのは、
登壇者としても嬉しく思いました。

今回の機会が
参加していただいた先生方の
これからの教育活動における何かのヒントやキッカケになれば、
幸いです。


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