スティーブ・ジョブズ氏の生きざまから学ぶこと。


先週、今週の「よのなか科Next」の授業では、
iPod iPhone iPad などの世界的な大ヒット商品を生み出している
「アップル」社の代表者であるスティーブ・ジョブズ氏が、
今までどんな人生を歩んできたのかを学びました。

ジョブズ氏が20歳のときに創業した「アップル」社が
アメリカのシリコンバレーで大成功をおさめたものの、
30歳のときには突然クビに。
しかし、その後ジョブズ氏は「アップル」社に復帰。
長期低迷をしていた会社を劇的に復活させました。

特に3年生の授業では、ジョブズ氏が復帰したあと
「アップル」社がどのような戦略をとったのか、
討議をしました。

授業の前に、スタッフの大学院生と打ち合わせをしたときには、
「アップル」社のとった戦略など見当もつかない、という様子だったので、
これは中学生にはちょっと難しすぎるかと思いました。

ところが、授業が始まると次々にユニークな意見がでてきました。

「他の企業が難しいと思う市場に思いきって参入した」
「音楽ダウンロードという業界に革命を起こした」
「売れる商品だけに集中をした」
「ネット時代の先を読んだ」
「他の企業と積極的に手を組んだ」
「会社をクビになっているあいだに、より消費者目線になれた」

などなど、”うなる”ような発言が飛び出ました。
あらためて、君たちの発想の柔軟さには驚きました。

大ヒットとなっているiPadも、
今年突然生まれたのではなく、
ジョブズ氏の長年にわたる思いや、
アップル社の山あり谷ありの歴史があったからこそ
生まれたものなのですね。

その時には、最悪の状況と思われたことが
あとで振り返ってみた時には、
最大の好機だったということは、
人生においては、よくあることです。

君たちのこれからの人生においても、
思わぬ逆境やピンチに見舞われたときには、
“これはチャンスなんだ!”
と思えること。
そして、大胆に気持を切り替えられるような強さを
持っていってほしいと思います。

授業の最後に、私が朗読しましたが、
スティーブ・ジョブズ氏がアメリカの大学の卒業式に招待され
スピーチした原稿の一部抜粋、要約文を転記しておきます。

■スティーブ・ジョブズ スタンフォード大学での講演(一部要約)■

私は幸運でした。自分が何をしたいのか、人生の早い段階で見つけることができました。実家のガレージで友人と「アップル」を始めたのは、私が二十歳の時でした。がむしゃらに働いて10年後、アップルは従業員4千人以上の20億ドル企業になりました。しかし、30回目の誕生日を迎えたその矢先に私は会社を、クビになったのです。
 自分が始めた会社だろ?どうしたらクビになるんだ?と思われるかもしれませんが、私の右腕として会社を動かせる非常に有能な人間を雇ったのですが、彼と考え方に違いが生じ、いざ決裂する段階になって取締役会議が彼に味方したので、私は30歳にして会社を追い出されたのです。

自分が人生の命の全てをかけて打ち込んできたものが消えたのですから、私はもうズタズタでした。数ヶ月はどうしたらいいのか本当に分からなかった。知る人ぞ知る著名な落伍者となったことで一時はシリコンバレーを離れることも考えたほどです。

でも、その時は分からなかったのですが、やがてアップルをクビになったことは自分の人生最良の出来事だったのだ、ということが分かってきました。成功者であることの重み、それがビギナーであることの軽さに代わった。そして、あらゆる物事に対して前ほど自信も持てなくなった代わりに、自由になれた。私は自分の人生で最もクリエイティブな時代の絶頂期に足を踏み出すことができたんですね。
それに続く5年のうちに私はNeXTという会社を始め、ピクサーという会社を作り、素晴らしい女性と恋に落ち、彼女は私の妻になりました。そして、思いがけない方向に物事が運び、NeXTはアップルが買収し、私はアップルに復帰。そして現在のアップルに至るわけです。

もし、30歳の時にアップルをクビになっていなかったら、こうした事は何ひとつ起こらなかった、私にはそう断言できます。そりゃひどい味の薬でしたよ。でも患者にはそれが必要なのだろうね。人生には時としてレンガで頭をぶん殴られるようなひどいことも起こるものなのです。だけど、信念を放り投げちゃいけない。
私が挫けずにやってこられたのは、ただ一つ、自分のやっている仕事が好きだという、その気持ちがあったからです。皆さんも自分がやって好きなことを見つけなきゃいけない。まだ見つかってないなら探し続ければいい。


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