【学生発表会を終えて】金賞よりも、かけがえのないもの。


平成21年度 和田中学校学芸発表会が終わりました。

夏休みから2ヶ月間、この日のためにずっと練習してきましたね。
本当に、お疲れ様でした。
その成果は、十分に表われていたと思います。
君たちの発表には、
一生懸命に取り組む「和田中イズム」が感じられました。
そして、君たちの懸命な発表を観ていて
何度も、熱いものがこみあげてきました。
感動的な発表を、本当にありがとう。
 
 
さて、合唱コンクールでは、
各学年の優勝にあたる金賞と
準優勝にあたる銀賞が決まりました。
その発表瞬間、私がいた舞台裏でも、
金賞の受賞に喜び、声を出して泣きだした人も、
金賞を逃して、悔しくて泣きだした人もいました。
その様子を見ていて、
審査員の一人として順位をつけるのが大変難しかったこともあり
みんなの喜ぶ姿だけをみたいな、とも思いました。

でも、みんながここまで頑張ってこられたのは、
「金賞を獲る」という高い目標があったからですよね。
みんなで掲げた目標への道のりで
お互いに向上心を持ち、知恵をしぼり、
また、時には意見をぶつけ合いながらも、
努力を積み重ねてきたはずです。
私は、その道のりで、金賞を獲ることよりも、
もっと大切なものを獲得していると思っています。

目標に向かってどんなに頑張っても
全員がその目標をかなえられないのは、世のつねです。
これから先、君たちが社会にでたら、
様々な場面で、自分の夢や目標がかなえられない時があることでしょう。
むしろ、それがかなわなくて、挫折することの方が多いかもしれません。

しかし、大切なのは、
その夢や目標に向かうまでのプロセス(道のり)で
何を学び、何を得たか、です。

合唱コンクールが終わって、金賞を逃した3年生の生徒が

「金賞を取れなかったのは残念ですけど、
3年生として今までにはないほど充実した練習をし、
クラスが一つになって発表ができたので、
心のどこかで満足もしているんです」

と言ってきてくれました。
今回、たとえ金賞を獲れなかったとしても
「その努力が無駄になった」
と思う人は、いないと思います。
目標への長い道のりの中で
君たちは、かけがえのない仲間を得、
その仲間との絆を深めてきたのです。

現在和田中学校の学校運営協議会の委員をしていただいている
玄田有史先生の『希望学』という研究によれば、
「過去に、挫折を経験したことがある人ほど、
現在、幸せな人生だと感じている割合が多い」
そうです。
つまり、「挫折」と「幸せ(希望)」と間に、
プラスの相関関係があることがわかってきています。
だから、金賞を獲れなかった悔しい経験も、
君たちにとっては、きっと将来の宝物になるはずです。
 
 
金賞を受賞したクラスは、本当におめでとう。
そして、金賞を逃したクラスも、
実は、金賞よりももっとかけがえのないものを
すでに手に入れていることを、忘れないでいてください。


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