剣道部のみんなへ


数あるスポーツのなかで剣道を選択しその道を究めようとしている君たちには、他のスポーツでは決して身につくことのないものをしっかりと身につけていると思う。

そのひとつは集中する力。剣道では目にも止まらぬ速さで勝敗が決し、しかもその勝敗は紙一重だ。三人の審判が三人とも同じ判定をするときばかりではなく、お互いが技を同時にかけ合った時には、白旗2人、赤旗1人と判定が分かれる時さえある。対戦相手は、体重別に分けられるでもなく、苦手なタイプがくることだってある。勝負の行方はいつも刹那(せつな)的なのだ。そんなスポーツに打ち込んで、しかも実績を残している君たちには、試合にかける精神的な強さとそれを持続させる集中力があると思う。

そして、もうひとつは、礼節のある行動。剣道と同じ日本の武道である柔道が、ローマ字で「JUDO」と呼ばれ国際的なスポーツになったころから、勝利のあとの派手なガッツポーズばかりが目立ち、試合前後の挨拶がいい加減なものになってしまったように思う。日本伝統的な武道には、礼に始まり礼に終わる、礼節をもった試合進行がよく似合う。試合後に、勝者敗者それぞれに惜しみない拍手がわくのは、剣道の試合会場ならではの独特の雰囲気だと思う。君たちは意識していないだろうが、敗れはしたものの戦い終わって静かに竹刀をしまう君たちのしぐさは、とても凛々しく感じた。

今日の都大会は、残念ながら一回戦で敗戦だった。しかし、君たちの選択したスポーツ道は、決して間違っていないと思う。自分では意識していない力がしっかりと身についている。もっと自信をもっていい。3年生はお疲れ様。そして、1、2年生は、今後さらに剣道の道を極め、日本を代表するような凛々しい男に(女に)成長してくれることを、楽しみにしています。


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カテゴリー: 校長室コラム