（体育館改修工事のため、放送による全校朝礼を行う）
みなさん、おはようございます。今日は、体育館が改修工事中のため、放送による朝礼を行います。みなさんの元気な顔が見られないのはとても残念ですが、ぜひ放送に耳を傾けてください。
さて、みなさんの夏休みはどうだったでしょうか？何か、達成感のあることはできましたか？
私はというと、夏休みに一つのチャレンジをしました。それは、高い山に登る、登山というチャレンジです。実は、私が中学3年生の時に、中央アルプスの西駒ケ岳に登山をしたことがありましたが、その後は山に登ることはありませんでした。ところが、和田中学校に来て、末吉副校長先生、杉田副校長先生の2人が、ともに登山家ということを知ったので、中学生のころに頑張って山に登ったことを思い出し、再び挑戦をしたくなって、2人にお願いをし、連れて行ってもらうことにしました。
目指した山は、南アルプスにあり、富士山の次に高い日本第2位の山、標高3,193メートルの北岳です。夏休みに入って、専用の靴とリュックとカッパを買い、朝は1時間くらいのジョギングを続けました。そして、8月8日、晴天。新しい登山靴をはき、新品のリュックを背おって、山梨県甲府駅で待ち合わせをしました。そこで3名でバスに乗りこみ、ゆられること約1時間、北岳の登山口に到着しました。登山口から見える北岳ははるかかなたにあり、雲を突き抜け、高くそびえ立っていました。山の斜面には、真夏にも関わらずまだ残雪があります。こんな高い山にいきなり登れるのか、急に心配になりました。
案の定、登りだすととてもきつい。息がきれ、足も重い。しかも、やっかいなことに、昔けがをした右の足首がだんだんと痛くなってきてしまいました。予防のテーピングをしていたのですが、予想以上にごつごつした岩場を歩いていたので、負担がかかったようです。本当は「足が痛いので休ませてください」と言いたかったのですが、末吉副校長先生と杉田副校長先生は、慣れた足取りでどんどんと先に行ってしまいました。さらに、末吉副校長先生は、「ウグイスの鳴き声がいいですね」とか、「川のせせらぎが、気持ちいいですね」と言って登山を満喫し、自分の世界に入っていたので、「足が痛い」などと言い出せる雰囲気ではなくなってしまいました。
それでも、50分歩いては10分休憩をする、この繰り返しをしながら約6時間歩き続け、夕方までには山小屋にたどり着くことができました。山小屋からは、北岳が間近に見え、ずいぶん登ってきたことを実感できました。
そして翌日の8月9日。朝4時に起床し、5時に出発。目の前は、急な岩場になり、這い上がるような格好で登り続けました。目の前の岩ばかりを見ているので、その先の景色はなかなか見えてきません。山の頂（いただき）に登らないと、その向こうに側に広がる景色を見ることはできないのです。歩き始めて、約１時間、ついに、3,193メートルの北岳の山頂に到着しました。北岳の頂きから見える景色は、想像していた以上に素晴らしいものでした。足元には雲海が広がり、遠くには富士山、北アルプスの山々が顔をのぞかせています。そこには、映画を見ているような幻想的なパノラマが広がっていました。今までの疲れも忘れてしまい、登ってきたかいがあったと、とても満足した気分でした。
その後も、天候にも恵まれ、北岳に続いて、3,189mの間ノ岳、3,026の農鳥岳の３つの山を制覇して、下山してきました。
登山口からは、はるかかなたに見えた3000メール以上の山々も、頂上にむかって、一歩一歩、歩みを続けて行くと、必ずたどりつくことができる。そして、山の頂で見える景色は、登っているときには想像ができないけれど、ひとたびその頂に立てば、想像を超えるものを満喫できる。そんなことを、登山をしてみて感じました。また、登山に慣れていない自分を連れて行っていただいた、末吉副校長先生、杉田副校長先生には大変感謝をしました。
話を戻します。
みなさんの夏休みはどうでしたでしょうか？達成感のある人も、そうでない人も、今日からはリセットして、あらたな気分でスタートしてみましょう。そして、これからの夏学期後半、秋学期以降、みなさんには、いろいろな「山」が待ち受けています。期末テストという山、学芸発表会という山、高校受験という山、さらには、これからの長い人生という山・・・たくさんの山です。ただ、覚悟をきめて登り始めれば、必ず頂にたどりつけると思います。そしてその山の頂きでの景色、つまり、目標を達成した時の喜びは、達成する前にはわかりませんが、必ず想像を超えたものに違いないと信じて、がんばってみましょう。
今改めて、教室に張ってある和田中学校の教育の目標を見てください。『「自立、貢献」 夢に向かって最善を尽くし、社会に貢献できる自立した人間であれ』。自分自身の夢や目標に向かって、小さくても、地道でもいいので、歩みを続けていってください。そうすれば、夢は必ずかなうはずです。
最後に、北岳の頂での景色がどんな様子だったか知りたい人は、校長室に来てください。写真をお見せします。
それでは、これで、朝礼を終わりにします。