【朝礼にて】障害者とともに、支え合って生きる。


おはようございます。

先週土曜日の全校「よのなか科NEXT」で
今年のバンクーバーパラリンピック、アイススレッジホッケーで
銀メダルに輝いた上原大祐さんを招いた授業を行いました。
上原さんは障害のためにずっと車椅子での生活をしながら
小学生から高校生まで普通学級で過ごしたことを語ってくれました。
明るくてエネルギッシュな上原さんから
みんなは、たくさんの希望や勇気を
もらったんじゃないかな、と思います。

さて、今日はあの授業の後に起こった出来事を話します。

授業が始まる前に
「和田中の生徒のみなさんと給食を食べてみたい」
という上原さんからの要望があったので、
「どうぞ、どうぞ、ぜひ教室で食べてみてください」
と私はすぐに返答しました。
しかし、
「上原さんは車椅子だから、階段を上るのも大変じゃないかな。
安全のことを考えると、教室で給食を取るのをやめたほうがいいかな」
などと考え、
「階段の上り下りは、大丈夫ですか」
と聞くと、上原さんは、
「心配しないでください。僕はずっと普通学校で過ごしてきたのですよ」
とあまりにも普通に、そしてとても明るく回答されたので、
私は、どうやって上り下りするのかよくわからないまま、
3年生の2階の教室で給食をとってもらうことにしました。

はたして・・・
授業が終わると、3年生の何名かがサポートに来てくれました。
上原さんは、階段の手前で車椅子から床に直接降りると
「自分の足を後ろから持ってもらっていい?
 車椅子は、もうひとりの人が持ってきてね!」
と言うと、生徒の一人に後ろから足を引き上げてもらい
両腕両手であっと言う間に階段を上りきってしまいました。
そして、給食を食べ終わったあとは、
今度は、なんと「逆立ち」をして、
ひとりで階段を下りてしまったのです。

“ひとりで階段を本当に上れますか?”
などと悠長に心配しているひまもなく、
自分の力で生きて抜いている上原さんの迫力に
その時にいたみんなと一緒に、
圧倒されてしまいました。

上原さんは授業のなかで
「もっとも辛かったことは何ですか?」
という質問に対して
「自分がどんなにやりたくても、バイクに乗るとか、ダンスをするとか
普通の人が普通にできることができないことを実感したとき」
とおっしゃっていました。
その話を聞いた時、
普通のことが普通にできてしまう私たちには
上原さんの本当に辛い気持ちを理解することは
とても難しいことだな、と感じました。
でもその一方で、
たとえすべてを理解することはできなくても、
その辛さや痛みを分かろうと必死に想像してみることが
とても大事なんじゃないかと思いました。

さらには、
障害者がかわいそう、と同情するだけではなく、
お互いに理解し、支え合って、
何か行動していくことのほうがもっと大事じゃないかと
上原さんの凄い行動力を見ていて思いました。

給食を食べ終えて、校長室に戻ってきた上原さんを
2年生のある男子生徒が待ち構えていました。
その生徒は、
「上原さんのブログを読んできました。
僕はある団体で芸術活動をしています。
その団体での収益の一部を、
上原さんの活動にぜひ役立ててほしいと思っています。」
そう切り出し、自分の活動する団体について説明し、
障害者スポーツの普及活動について
話し合いを始めました。

私は、
「障害者に対して、ただ同情をするのではなく
お互いに理解し合い、支え合って生きること」
が大事だと言いました。
まさに、彼の行動こそが、
障害者と支え合って生きることであり、
そのやりとりはとても頼もしく見えました。

今週は、土曜日の振替で30日が休みとなり、
和田中のゴールデンウィークは、
29日から5月5日までの7連休となります。

のんびりとするのはいいのですが、
この連休を生かして、
自分のためだけではない
だれか他の人の支えになるような行動を
(簡単なお手伝いでもいいと思う)
何かひとつ、行って欲しいと思います。

今日は以上です。

p.s
上原大祐さんの公式ブログに、
和田中のことが紹介されています。
上原さん、どうもありがとうございました。

http://blog.livedoor.jp/daikon1932/

上原大祐公式サイト
オフィシャルブログ「上原大祐だいこん日記」


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