【朝日新聞コラム④】「夜スペ」2年 よりよい学びを


朝日新聞 日曜版 『学び』あめはれくもり

「夜スペ」2年 よりより学びを

東京都杉並区立和田中学校の校舎では、夜の7時になる
と、地域のボランティアが主催する有料授業「夜スペシャル
(夜スペ)」が始まります。実際に授業を行うのは、
進学塾の講師陣。本格的にスタートした2年前の5月には
60社近い報道機関が学校に押し寄せて来ました。「教員は
いったい何をしているのだ」「公教育の崩壊だ」などと、
非難の電話も数多くいただきました。

それから2年。「学校の授業との相乗効果を出すにはど
うしたらよいのか」「どうしたら夜の校舎で安全に学べる
のか」前例のない取り組みに、地域のボランティアの方々
と保護者、そして学校の先生方との意見が衝突することも
ありました。しかし、試行錯誤を繰り返し、生徒のための
新しい学びの場をみんなで少しずつ形づくってきました。
今年度からは進学塾を変え、生徒の学習レベルに合わせた
パソコンによる授業に、約20名の3年生が参加しています。
=(写真)

夜スペ様子

現状、東京都では、中学生の7割が塾に通い、年間数十万円の
費用がかかっていて、塾のために部活動を早退する生徒もい
ます。一方で、親が一人だったり共働きだったりして、塾通
いせずに家に帰ると待っている人がだれもいない生徒も多く
います。その現状をふまえて、地域や塾などの外部の力を
ネットワークでつなぎ、公立中学校にとってのよりよい学び
を模索し続けたいと思います。

(東京都杉並区立和田中学校長)


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