【朝日新聞コラム⑥】「”スイッチ”を入れる」出会い


朝日新聞 日曜版 『学び』あめはれくもり

「”スイッチ”を入れる」出会い

「あの子は、今日〝スイッチ〟が入りましたよ。ぜひ見
守って下さいね」。授業を終えた書道家、武田双雲先生が
私にそう言いました。その言葉どおり、その子はやめてい
たという書道塾に再び通い始め、学校の授業にもより積極
的に取り組むようになりました。

書道家 武田双雲先生

東京都杉並区立和田中学校 では、ゲスト講師を招く「よ
のなか科」の授業を行っています。ゲスト講師は著名な芸
術家やスポーツマン、医師、会社社長から区役所の方まで
多種多様です。ただ、私がこだわっているのは、中学生が
直感で「こういう人になってみたい」と思えるような大
人。
 中学生は将来に不安を持ちながらも、何かワクワクする
ような出会いを探しています。生き生きと働く大人と出
会い、キラキラとした言葉を投げかけてもらうと、生徒は
〝やる気のスイッチ〟を入れ、自ら変わるキッカケをつ
かんでいきます。私たちの役割は、将来の選択肢を生徒に
いっぱい提示してあげること。
 4月には、バンクーバー・パラリンピックのアイススレ
ッジホッケーで銀メダリストに輝いた上原大祐選手に、競
技の傍ら障害者スポーツのために活動をしている話をして
いただきました。授業後「ぜひ上原さんの力になりたい」
と校長室に来た生徒は、今、障害者スポーツ団体でボラン
ティア活動を始めました。
(東京都杉並区立和田中学校長)


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