【朝日新聞コラム⑦】「公教育」のすごい力


朝日新聞 日曜版 『学び』あめはれくもり

「公教育」のすごい力

「これはすごい、職人技だな」。ビジネスの世界から学
校現場に飛び込んで、先生方に対して感じたことです。学
力差のある生徒たちへのきめ細やかな指導、思春期を迎え
た生徒たちを引き付ける独特の話術。そして、複数の先生
方が連携してタイミングよく褒めたりしかったり--。生
徒一人ひとりに際限なく時間と労力を注ぎ込む姿は、外の
世界からでは想像がつきませんでした。

ただ、学力の向上に関して言えば、もっと客観的で合理
的な指導方法を確立する必要があると思いました。

 そこで今年度から、東京都杉並区立和田中学校では「集
中力と記憶力を高めることで学力は向上する」という仮説
をたて、「脳トレ」理論に基づいた朝学習を実施したり、
生徒による授業評価制度を導入したりして、その検証を徹
底的に行っています。

音読中
【和田中ブレイントレーニングで3分間の音読中】

学力推移
【和田中学力調査資料より】

区の学力調査で、和田中の学力は過去5年で大幅な伸びを
記録しています。経験頼みだった指導ノウハウを学校全体
で共有していくことで、今後もさらに向上すると確信して
います。
 私塾と提携して「夜スペ」を実施したことで、学校の先
生の指導力は塾の先生とは異なる面で優れていることをあ
らためて実感しました。公立中学校にはすごい力が存在し
ています。
 今までの自分の経験が、その力を引き出し、和田中生の
ため、そして日本の子供たちのために少しでも生かされた
ら、と思っています。

(東京都杉並区立和田中学校長)


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