3年生のみなさん、卒業おめでとう。


3年生のみなさん、卒業おめでとう。

今から3年前、
君たちが和田中に入学してきた日のことを
私は今でも鮮明に思い出すことができます。
それは、私にとっても
和田中での学校生活が始まった、
記憶に残る第一日目だったからです。

初めてこの壇上に登って、
まだあどけない君たちの顔を見ながら
「よし! この子どもたちを
世界で一番、可能性に満ち溢れ、
そして、大きく羽ばたく力を秘めた、
そんな中学生に成長させてやろう。」
そう決意しました。

そして、この3年間、
校長という仕事をしながら、
私の一番の喜びと感動は、
君たちの一人ひとりの成長を感じることでした。

初めて「よのなか科」の授業を行ったとき、
こんな感想文がありました。
「社会には、答えのないことがあるんだ
という校長先生の話にびっくりしました。」
これは、石黒君の感想でした。

それから約50回、君たちと一緒に学んできました。
先日、最後の「よのなか科」の授業では、
こんな感想文がありました。

「社会には答えのないことがたくさんあること。
そして、その答えは自分の中にあることを学びました」
鯵坂君の感想でした。

「厳しい世の中のこと、命の尊さ、夢を抱く大切さを学び
そんな社会へ一歩踏み出して行こうという決意がわきました」
藤原さんの感想。

「卒業しても、様々な社会問題について考え、
自分なりの意見を持ち、それを解決できるような人間になりたい」
北村君の感想。

「社会の問題を議論する時には、我を通さず、
他人の意見に耳を傾け、自分の考えを深めていきたい」
野中君の感想。

「挑戦する気持ちを失わない、社会の開拓者になりたい。」
土佐谷君の感想。

「世の中には、誰にも称賛されることのないヒーローもいる。
そんなヒーローが社会を支えているんだということがわかり
自分も、そんなヒーローになりたい。」
平岡君の感想。

ひとつひとつ読み上げたらきりがありませんが、
君たちの成長は私の想像をはるかに超えていました。
うれしかったです。
こんな感想文が書ける中学生は、
日本中探しても、どこにもいないと思います。

授業の中では、
これからの「よのなか」について
繰り返し話をしてきました。
君たちがこれから生きぬいていく社会は、
従来の成長を前提とした社会ではなく、
様々な人々の多様な価値観が混在する成熟した社会。
予想もしなかった課題や難問に遭遇する
「答えのない社会」です。
そんな社会を生き抜いていくためには、
人の話に耳を傾け、
自分の力で考え、答えを見つけ出し、
相手に堂々と伝えていく力が必要です。

それと同時に、君たちには、
昔も今も、そしてこれからも決して変わらない、
人間としての大切な「心構え」について
話をしてきました。
つまり「自立、貢献」の精神。
人は、他人に対して優しさやいたわりの気持ちを持ち、
たのもしくも、厳しい自己を確立していく、
その心構えと覚悟が必要です。

ちょうど一週間前、
君たちは東京ディズニーランドで
このたびの大地震に遭遇しました。
その時、誰一人として取り乱すことなく、
冷静に正しい行動をとれたことを聞きました。
また、飲み物や食べ物が不足している中で
おみあげのチョコレートを
幼い子供にわけている生徒がいたことも聞きました。

一方で、3年生の先生方は全力で君たちを守り続けました。
学校にいた先生方も徹夜で対応をしました。
保護者や地域の方々は、
帰ってくる君たちのために、
深夜からご飯とみそ汁の準備をしていただきました。
また、和田中とは縁もない浦安の小学校が、
万が一のために、毛布と宿泊場所を確保してくれました。

今回の災害は、日本人に大きな試練を与え
今、日本人の力が試されています。
みんなで助けあい、支え合い、
必ずや復興を遂げ、
今まで以上に強い絆で結ばれた国にしなくてはなりません。

今回の震災を通じて、
君たちも何かを学び、行動して行って欲しい。
優しさやいたわりの気持ちをもって助けあい、
社会を支える、
希望の星になっていくことを期待しています。

結びとなりますが、保護者のみなさん、
本日は、お子様のご卒業おめでとうございます。
また、先週の地震では大変ご心配をおかけしました。
至らないところも多々あったかとは存じますが、
今まで本校の教育活動にご理解とご協力をいただき、
ここまでご支援いただきましたことを
教職員を代表してお礼申し上げます。
本当にありがとうございました。

また、御来賓のみなさま、地域のみなさま、
本日はご多忙のところ
本校卒業式にご臨席賜りお礼申し上げます。
和田中学校は105名の卒業生を送り出すことができますが、
その陰に皆さまのお力添えがあったことを忘れません。
ありがとうございました。

さぁ、3年生の諸君、いよいよお別れです。

君たちは、今、
世界で一番、可能性に満ち溢れ、
そして、大きく羽ばたく力を秘めた中学生だと
確信しています。

自信を持っていい。

これから先、どんな困難にも負けず、
君たちなら、きっと、大きく、高く、
羽ばたけるはずです。

君たちのことは、忘れません。

ずっと、応援しています。

3年間、ありがとう。

卒業、おめでとう。

平成23年3月19日 
杉並区立和田中学校 校長 代田昭久


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